「GAPをする(国際水準GAPに取り組む)」の取り組み方法と確認手段の提案

はじめに

農林水産省では、「GAPをする」と「GAP認証を取る」を分けて、取り組みを整理しています。

農林水産省 GAPに関するホームページ

GAP認証については、JGAP / ASIAGAP / GLOBALGAPなど、農場・産地が各種のGAPに取り組み、第三者による審査を受け、認証を受けることと説明されています。

一方で、「GAPをする」については、具体的に何をやったら「GAPをする」なのか。
「GAPをする(している)」ことは、どのように確認したらよいのか。
このような質問・相談が、多くの都道府県やJAグループ等から寄せられています。

平成30年度からは、環境保全型農業直接支払の制度でも、「国際水準GAPに取り組むこと」が交付要件になっており、この制度では既定の実施内容確認書を提出することで「GAPに取り組んでいる」と見なすような工夫がなされています。

このような流れの中、GAPのシンクタンクであるGAP総合研究所としても、「GAPをする」について、何らかの解決策の提案をしようということになり、下記をまとめました。

関係各所、参考にして頂ければ幸いです。

「GAPをする(国際水準GAPに取り組む)」の具体的なやり方と確認手段の提案

認証は取らないが、GAPに取り組み、それを確認する方法として、以下を提案する。

(1)環境保全型農業直接支払の事業で求められる要件と整合性を取るため、国際水準GAPをベースとして進める形が望ましい。

(2)国際水準GAPをベースに進めることにより、バイヤーからの要求等で認証取得に向かう場合にも、この取り組みをステップ的なものとして活用できる。

(3) まず、国際水準GAP(JGAP / ASIAGAP / GLOBALGAP)の管理点と適合基準から特に重要なものを抜き出した入門版の基準書(例:添付のJGAP(ASIAGAP)入門版)を作る。

注:ASIAGAPはJGAP+αの内容で作られているので、JGAP入門版はASIAGAP入門版でもあります。

NPO法人GAP総合研究所作成 JGAP入門版 例(イメージ)

GAP総合研究所が作成しましたJGAP入門版は、一般財団法人日本GAP協会から二次的著作物として許諾を得ております。

(4) JGAP(ASIAGAP)入門版は、農林水産省GAPガイドラインに対応した形で管理点の数を減らす一方で(120管理点→69管理点)、管理点と適合基準の中身は変更しない。

(5) JGAP(ASIAGAP)入門版は、管理点と適合基準の中身は変更しないが、取組例の部分は自由に書き換えて利用する(例「○○県で行う場合の推奨の取り組み方」)。

(6) 取組例の部分は、生産者とJAグループの役割分担を明確化し、団体全体としてGAPの取り組みが実践できている状態を目指す。

(7) 環境保全型農業直接支払の実施内容確認書に記載しやすくするために、どの管理点が実施内容確認書のどの項目に関係しているのか分かりやすく明示する。

(8) このように作成したJGAP(ASIAGAP)入門版に農業者は取り組み、毎年の自己点検を行う。自己点検の写しを団体に提出することで、「GAPをする(している)」とみなす。
例えば、30年度はJGAP(ASIAGAP)入門版の自己点検による適合50%以上を目指し、31年度は80%以上を目指すなど、達成目標を段階的に設定していく。

(9) 普及員や農協職員は、農家が行う自己点検をサポートする。例えば、JGAP(ASIAGAP)入門版の管理点に沿って、農業者の具体的な取り組み内容の相談に乗る、またはJGAP(ASIAGAP)入門版を使った集合研修や勉強会を開催することで、取り組みをサポートすることができる。

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